海外のオンライン診療の現状と日本との違い ~グローバルな視点から見るペット医療~
オンライン診療は世界中で急速に普及しており、日本だけでなく多くの国でペット医療の新たな形として採用されています。今回は、海外におけるオンライン診療の現状や特徴を解説し、日本との違いについても考察します。
1. 海外のオンライン診療の現状
(1) アメリカ
- 普及状況:
アメリカでは、オンライン診療はペット医療の主要なサービスの一つとして広がっています。特に、以下の点で発展しています:- 専用プラットフォーム:
VetsterやAirvetなど、ペット専用のオンライン診療プラットフォームが広く利用されています。飼い主がアプリを通じて簡単に予約や診療を受けられる仕組みです。 - 24時間対応:
夜間や休日にも対応可能なサービスが増えており、飼い主の利便性が高い。
- 専用プラットフォーム:
- 特徴:
- 緊急症状以外のほとんどの相談がオンライン診療で対応可能。
- ペット保険がオンライン診療をカバーしているケースが多い。
(2) ヨーロッパ
- 普及状況:
イギリスやドイツを中心に、オンライン診療は医療サービスの一環として確立されています。- イギリス:
FirstVetなどのサービスが普及。政府によるガイドラインの整備が進んでおり、オンライン診療の質が担保されています。 - ドイツ:
法規制が比較的厳しく、対面診療との併用が推奨されていますが、慢性疾患のフォローアップや予防医療にオンライン診療が活用されています。
- イギリス:
- 特徴:
- 多言語対応のサービスが充実しており、異なる地域の飼い主にも対応可能。
- 環境保護の観点から、通院回数を減らす取り組みの一環としても注目されています。
(3) オーストラリア
- 普及状況:
オーストラリアでは、広大な国土に対して動物病院が少ない地域があるため、オンライン診療が特に重要視されています。- 遠隔地対応:
地方在住の飼い主が、都市部の専門医にアクセスする手段としてオンライン診療が活用されています。
- 遠隔地対応:
- 特徴:
- 地域の獣医師と都市部の専門医が連携する仕組みが構築されている。
- ペットの緊急搬送とオンライン診療を組み合わせたサービスが増加。
2. 日本との違い
(1) 規制やガイドラインの整備
- 日本では、初診は原則として「かかりつけの獣医師」が行うことが求められていますが、アメリカやイギリスでは飼い主が直接専門医にアクセスできるケースも一般的です。
- 日本の法律では、オンライン診療で処方できる薬の種類や日数に制限がある一方で、アメリカでは飼い主の利便性を重視した柔軟な対応が可能です。
(2) サービスの充実度
- 日本ではオンライン診療プラットフォームが増加しているものの、海外に比べて24時間対応や多言語対応のサービスがまだ少ない状況です。
- 海外では、診療だけでなく、健康管理アプリやリモートモニタリングデバイスと連携したサービスが普及しています。
(3) 飼い主の利用意識
- 日本では対面診療が主流であり、オンライン診療の普及はまだ発展途上です。一方で、アメリカやヨーロッパではオンライン診療が一般的な選択肢として認知されています。
3. 海外の成功事例から学べること
(1) 緊急対応と定期診療の使い分け
- アメリカのVetsterでは、緊急症状は対面診療、軽度な症状やフォローアップはオンライン診療で対応するシステムが確立されています。
- 日本でも、診療前相談を通じて診療方法を柔軟に選べる仕組みを導入することで、利便性が向上するでしょう。
(2) 技術とサービスの融合
- オーストラリアでは、リモートモニタリングデバイスとオンライン診療を組み合わせたサービスが注目されています。これにより、遠隔地でも高度なケアが可能になっています。
(3) 保険との連携
- 海外ではペット保険がオンライン診療をカバーすることで、飼い主の経済的負担が軽減されています。日本でも、ペット保険の普及を促進し、オンライン診療の利用を後押しすることが求められます。
4. 日本が目指すべき方向性
(1) 法規制の柔軟化
- 初診や薬の処方に関する規制を見直し、安全性を確保しつつ、利便性を高める仕組みが必要です。
(2) サービスの多様化
- 24時間対応や多言語対応、AIやデバイスを活用した診療サービスを充実させることで、飼い主の多様なニーズに応えられるようにします。
(3) 飼い主への教育と啓発
- オンライン診療の利点や利用方法をわかりやすく説明することで、利用意識を高め、普及を促進します。
まとめ
海外のオンライン診療は、日本よりも一歩進んだ仕組みやサービスが展開されていますが、日本でも規制の見直しやサービスの充実を進めることで、さらなる成長が期待できます。これからも海外の成功事例を参考にしつつ、日本独自の強みを活かしたオンライン診療の発展を目指しましょう。
次回の記事では、「オンライン診療と最新技術の融合」をテーマにお届けしますので、ぜひお楽しみに!

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