動物愛護法の改正の再確認
2022年6月1日より新たに適用される動物愛護法の規制について解説します。
ケージの大きさ・構造
2022年6月1日より、犬を飼育管理するケージなどの大きさの基準が既存の事業者にも適用されます。
必要となる大きさは、犬の体長と体高を元にした比率で決められています。犬を取り扱う事業者は、どのような営業内容であっても満たさなければならない基準として「運動スペース分離型(以降、分離型)」と「運動スペース一体型(以降、一体型)」の2パターンで大きさが決められています。


分離型
「分離型」という名称から分かるように、上図で示した寝床となる飼育スペース以外に、運動スペースが必要です。いわゆる「平飼い」であっても、次に解説する「一体型」より狭い場合は、運動スペースを別途設けなければなりません。
運動スペースは、次に解説する「一体型」と同等以上の広さが必要です。
この運動スペースは常時利用な状態でなければなりません。
1日3時間以上の運動
飼養施設に関する基準は、閉じ込めっぱなしの管理スタイルへの批判から定められたものです。
分離型の場合は、運動スペースに1日3時間以上、犬を出して、自由に運動できる状態にする必要があります。
ペットショップでの展示でも、展示するスペースが一体型の条件を満たせない場合は同様です。
運動スペースは交代利用も可能です。ただし、営業時間を考えると1日3交代(3時間*3回=9時間)が限度とされています。
一体型
「一体型」は上図のとおり、先ほどの分離型の面積をもとに算出します。
一体型の最小面積で、それぞれ2頭まで同居・管理できますが、3頭目以降は分離型の面積の3倍以上の床面積を追加する必要があります。
なお複数頭を管理する場合は、もっとも大きな個体を基準にその面積と高さを計算する必要があります。
一体型の場合は、その飼養スペース自体が運動スペースも兼ねているので、別に運動場を作る必要はありません。
子育て時の注意点
一体型で親子いっしょに管理する場合は、子犬の頭数を含めなくても構いません。ただし、親子以外を同居させる場合は、それぞれの面積を確保する必要があります。
一方、分離型で親子をいっしょに管理する場合は、子犬についてもそれぞれの大きさから1頭ずつ分離型の広さを算出し、その合計の床面積が必要となります。
例外
客観的に判断できる特別な事情がある場合、適用除外が認められる場合があります。
怪我や病気で安静にしなければならない場合や、出産後の特別な管理が必要な場合などは、基準と異なるケージ等の大きさや構造が認められるケースもあります。
また、ホテルでの数日程度の預かりなど、1日3時間以上の運動の義務が免除される場合があります。